Applicable to:
- Plesk for Linux
- Plesk for Windows
情報
移管によるアップグレードとは、現在の Plesk サーバにあるすべてのホスティングデータと設定を、最新バージョンの Plesk がインストールされた Plesk サーバに移管するプロセスです。
この方法が推奨されるのは、サーバにインストールされているオペレーティングシステム(OS)が EOL(サポート終了)を迎えている場合や、サポート終了日が近づいている場合です。
また、移管によるアップグレードには、本番サーバでサービスのダウンタイムを最小化できるメリットや、移管の実行中もウェブサイトをオンラインのまま維持できるというメリットがあります。
本記事では、Plesk の新しいバージョンへの移管を滞りなく進めるために、いくつかの推奨事項をご紹介します。
事前の作業
移管を始める前に、こちらのチェックリストに従って移管が可能であることを検証し、サーバに十分なリソースがあり、すべての要件を満たしていることを確認してください。
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適切な移管先 Plesk 環境を選択します。
Plesk KB 記事 #213397329 で、ご使用の Plesk サーバからの移管に対応する Plesk バージョンを確認してください。
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移管元サーバと移管先サーバで、Plesk ライセンスを比較します。
Plesk サーバを新しくデプロイする場合、移管元サーバのすべてのデータをホストできるよう、同等以上の機能を備えるライセンスを注文する必要があります。あるいは、有効期限以外に制限がない一時的なライセンスをリクエストすることもできます。このライセンスを取得するには、販売担当者までお問い合わせください。
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データの移管に十分なサーバリソースがあることを確認します。
空きディスク容量をチェックします。移管元サーバには、少なくとも移管に必要な容量と同程度の空きディスク容量が必要です。移管先サーバには、移管するデータの 2 倍以上のサイズの空きディスク容量が必要です。この追加容量は、移管先サーバにダンプを保存し、そこからデータを抽出するために必要になります。 注: Plesk バージョン 12.5 以降へ移行する場合、ディスク容量の要件は 異なります 。
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移管元サーバと同じ数の IP アドレスを移管先サーバに用意します。
移管中に、共用 IP アドレスと専用 IP アドレスがそれぞれマッピングされます。そのため、移管先 Plesk サーバに移管元 Plesk サーバと同じタイプの IP アドレスが同じ数だけ存在することを確認してください。
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時間のかかるオペレーションを処理できるよう、Plesk PHP の上限を増やします
移管元の Plesk に大量のオブジェクト(ドメイン、メールボックス、エイリアス、DNS レコードなど)がある場合、デフォルトの Plesk PHP 上限を引き上げる必要がある可能性があります。
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Linux の場合:
/usr/local/psa/admin/conf/php.ini
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Windows の場合:
%plesk_dir%\\admin\\conf\\php.ini
memory_limit
とmax_execution_time
の値に特に注意してください。 -
Linux の場合:
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移管元サーバと移管先サーバ間が通信できることを確認します。
バージョン 12.5.30 以降では、移行のために以下のポートを開く必要があります。
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135、139、445(TCP)ポート - 移行用 - Windows のみ
- 137、138(UPD)ポート - 移行用 - Windows のみ
- 10155(TCP)- その他の作業を行うカスタム Plesk Migrator サービス用 - Windows のみ
- 10156(TCP)- rsync サーバ用(移行)- Windows のみ
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1434(TCP)およびすべての(または手動で選択した)TCP ポート - MS SQL 用(named インスタンスとして使用する場合)。
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Linux から移行する場合は、ポート 22(SSH)での TCP 接続を許可してください。
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移管先 Plesk サーバに移行・移管マネージャをインストールします
Plesk コントロールパネルを開き、[Tools & Settings]>[Updates and Upgrades]に進みます。新しいウィンドウまたはタブにインストーラのウェブインターフェースが開きます。インストーラのウィンドウで[Add Components]をクリックし、移行・移管マネージャコンポーネントのチェックボックスをオンにして、[Continue]をクリックします。
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最終的な移管作業に適した時間帯を選びます。
サーバの負荷が最も低い時間帯に移管作業を行うことをお勧めします。移管中に移管元サーバが受ける要求が少なければ少ないほど、移管が完了する時点で移管元サーバと移管先サーバのデータの整合性が高くなります。さらに、移管作業によって CPU、メモリ、ネットワーク帯域幅などのシステムリソースが大量に消費される可能性があります。営業時間外に移管を行うことで、サービスが停止するリスクを抑えることができます。
移管の実施予定日を顧客にあらかじめ通知します。例えば、一部のドメインに対し、ネームサーバの IP アドレスを新しい移管先サーバに変更する必要があるかもしれません。このような作業は、顧客の協力が必要になるため、あらかじめ予定を立てる必要があります。
移管
データを正しく移管し、移管先サーバで一貫性を保つには、以下の手順に従います。
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DNS ゾーンの TTL を 1 時間以内にします。
TTL を短くすると、DNS の変更をより迅速に更新できるようになり、移行されたコンテンツがより早く表示されるようになります。
Plesk DNS CLI ユーティリティを使用して TTL の値を引き下げることができます。 - Linux の場合
$ for domain in $(MYSQL_PWD=`cat /etc/psa/.psa.shadow` mysql -u admin psa -Ns -e"select name from dns_zone where name not in (select val from misc where param = 'FullHostName')") ; do /usr/local/psa/bin/dns --update-soa $domain -soa-ttl 1h; done
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Windows の cmd.exe:
"%plesk_bin%"\\dbclient.exe --direct-sql --sql="select name from dns_zone" > C:\\domains.txt
FOR /F %D IN (C:\\domains.txt) DO IF NOT '%D' == 'name' "%plesk_dir%\\bin\\dns.exe" --update-soa %D -soa-ttl 1h
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Windows の cmd.exe:
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最初の移行を実行します。
移管先の Plesk を開き、[Tools & Settings]>[Migration & Transfer Manager]>[Start New Migration]に進みます。ウィザードに従い、移行プロセスを開始します。
注 : カスタムホスティング付きの Plesk for Windows Server を移管する場合、 こちらのガイド の記述に従う必要があります。
注 : ご使用の Plesk サーバが Active Directory ドメインのメンバーである場合、移行ウィザードで移管元のホストにクレデンシャルを指定する際に、ローカル管理者グループの特権を持つローカルアカウントを使用する必要があります。
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移行結果を確認します。 警告やエラーがあれば、調査します。
KB 記事 #213372409 (Linux)および #213930805 (Windows)で、一般的なトラブルシューティングアプローチを確認できます。
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100% の整合性を保つために、ドメインを一時停止します(オプション)
移管元の Plesk サーバで、コンテンツが頻繁に更新されるドメインをホストする場合(フォーラム、ブログ、e-コマースアプリケーションなど)、このようなドメインを一時停止すると、データの損失やルーチンの重複などを回避することができます。
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最終的な移行を実行します
最初の移行が成功した場合は、こちらもオプションで実行できます。しかし、重大なエラーが発生した場合や、データが一部しか移管されていない場合は、移管元サーバのすべてのコンテンツを完全に移管するために、さらに移行セッションを行う必要があります。
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移管先サーバでサービスが起動していることを確認します。
いくつかのウェブスペースとそれに関連するウェブサイト、メール、データベースを抜き出してチェックし、移管先サーバで正しく機能していることを確認します。
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レジストラ側または管理されているシステムで、必要な変更を DNS に加えます。
必要に応じてレジストラでネームサーバの IP アドレスを更新し、外部ネームサーバの DNS ゾーンを更新して、移管されたサービス用に再作成された DNS レコードを反映させます。
移行後のコンテンツの同期
同期によって、DNS がまだ切り替わっていないときに、移行されたデータを移行元サーバのデータに合わせて更新することができます。この手順については、こちらの記事( How to sync content between source and destination servers after migration )で説明しています。
追加情報
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移行・移管の一括実行:
移行・移管を一括実行したい場合、特別な一括移行/移管スクリプトの使用をご検討ください。手順は こちらの記事 を参照してください。
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移行・移管の手動での実行:
状況によっては、移行・移管を手動で実行するのが最適なアプローチとなります。たとえば、移行・移管マネージャでは移管が難しいメールコンテンツやデータベースがある場合、接続速度が遅すぎて自動アプローチを完了できない場合、サーバのクラッシュ後にコンテンツを復元したい場合などがあります。移行・移管の手動での実行手順は、こちらの KB 記事( Plesk 移行マネージャを使用して Plesk データを手動で移行するにはどうすればよいですか? )を参照してください。
- OS が破損して、旧 HDD を新規サーバにマウントした場合、どのように Plesk を復元すればよいですか?
- Plesk の専門家に移行またはアップグレード作業を任せたい場合は、Plesk プロフェッショナルサービスオプションを弊社ウェブサイト( https://www.plesk.com/professional-services/ )でご確認ください。
以下も参照してください。
Plesk for Linux: 移行のベストプラクティスとユースケース
Plesk for Windows: 移行のベストプラクティスとユースケース
コメント
1件のコメント
再同期についての説明が欲しいです。
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